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宗和先生に訊く

プロフィール

宗和 太郎 教授 (副学長・保育科長)

上智大学大学院博士後期課程修了、教育哲学専攻。

昭和57年より宮崎女子短期大学(現 宮崎学園短期大学)に勤務、教育原理、道徳教育の研究等を担当。平成19年より保育科長、平成22年より副学長兼務。

平成10年よりFD推進委員会委員長(平成18年まで)を務め、平成15年度には「日本一の地方短大を目指す全学的FDの取組」が初年度教育GPに選定される。平成21年度学生支援GP「学生の総合的診断・ケア・サポートシステム」申請を担当。

主要論文:「近代教育の行き詰まりと子ども理解」「学校の教育力の向上の課題は何か」「子どもの見える教師・親」「学友作り 構成的グループエンカウンターの試み」「学生のスキル学習プログラム」など。


大学の現状と立案の背景

18歳人口の推移大学の定員と受験者の数が同じになり、いわゆる「大学全入時代」を迎えています。
18歳人口は、平成4・5年をピークに、それから15年であっという間に半数になり、短期大学の場合は、すでに数年前から定員割れという状況が全国で起こっています。

本学も、数年前から全入という状況があり、入学を希望する学生に対しては全員受け入れ、そして受け入れたからには、入学してきた学生を、宮崎県内の人材としてしっかり通用するように育てていくというのが本学の使命であると考えていて、また、この宮崎という地域を担っていける人材として育てて行かなければ、本学の教育機関としての信用が失われてしまうという危機感も持っています。

実際のところ、去年(2007年度)まで保育科だけは定員を満たしていましたが、それ以外の学科は定員割れをしていて、現在の教職員の規模や教育水準を維持していくのも、徐々にではありますが難しくなっていくだろうと予想しています。

いままで本学は、宮崎県内の高校生を対象にしてきたわけですが、県内の高校生の数も減っている現状からすると、県外からも学生を呼び込めるような力を持たないと定員を維持することは難しく、地元密着はこれまでと同じですが、県外からも来てもらえる「何か」を作っていくことで、本学を選んでもらえる試みを強化していく、結局それは「教育力」だと思っています。

ただ、このような状況下では、受験競争という篩いにかけられずにしごかれずに入ってきた学生がどうしても多くなってきているのは事実です。

もちろん、入学してくる学生の中には、自分の将来を見据え、目的意識の強い学生も学力の高い学生も少なからずいるのですが、一方ではそうでない学生も全国的な傾向として増えてきていて、そこにどう対処していくかということ、また、2年間という短い間に、社会に出ていくにあたり通用する人材を育て上げていかなければならないというのが課題です。

大学・短期大学は、全国どこであっても、ある程度の水準を備えなければ修了認定・卒業はできないですから、目標水準を落とさずにカリキュラムを運営していかなければならないのですが、そのカリキュラムに乗り切れない、低学力あるいは低意欲の学生たちに対しての特別な支援が必要であろうというところが、この「学生の総合的診断・ケア・サポートシステム」の前提となっています。

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学生の自立支援と全学的な支援

学内への道それぞれの学生が学生生活を終えた後、社会人として自立していくというときに、この2年間にどんな教育プラス支援が必要なのかということを考えましたが、つまるところ、学生自身の自助的努力に対する全学的な援助に尽きると思います。

まずは学生自身が、自分の持っている能力、置かれている状況を自分自身で把握し、自分にとって何が必要なのかを気付くこと。それに対して、担当教員・職員たちが個々の学生にアプローチして、アドバイスとケアを行っていく。

それが学生支援GPの目的となっており、18歳という年齢はまだまだ社会的には「弱い」存在であり、何が足りないのか、どこに欠陥があるのかということを教職員の立場から考えた時、それは知識が身に付いていないだけで、決して能力的に劣っているから「弱い」ということではないのですね。

今までの生活環境の中で、たとえば、対人コミュニケーションであるとか、授業を受ける姿勢であったりとか、あるいは自分自身へのストレスケアであったり、学ぶべきものが学ばれてこなかったということです。

そこで、教職員が一丸となって学生のサポートに動くためには、個々の学生の状況を把握することが必要で、把握したうえで必要な援助を、学習面でのアドバイスはもちろん、メンタルケアも行っていくという試みを、数年来行ってきました。

これまでに、学生個人に対してどんな支援をしていったらいいのかということで、学科ごとに『教育カンファレンス』というのを月一回行っているんですね。

学内のイチョウの木教員が日々の授業や会話の中で、気になる学生、心配な学生をピックアップして、最近欠席がちなんだよね、ちょっと態度がとげとげしかったりするね、今こんなことで苦労してます、この学生をどうしたらいいのだろう、など、いろいろとでてくるものなのですが、その場での情報交換のみで継続的な取り組みがしにくかったこともあり、その仕組みにICT (* information and communication technology =情報通信技術)を導入することで、教職員同士の情報共有を図り、個々の学生の性格や状態に応じて担当教員一人で指導するのは荷が重いとしても、学校という組織全体でプログラムを作っていけば、的確な手当てを準備できる可能性が広がっていくと考えています。

そのために、日々の記録として、また、その学生はどういう特徴を持っていて、どういう経過をたどってきたのか、すべての教職員が気づいたことを電子データとして書き込みます。

そこでは教職員がそれぞれの学生にアプローチするための手がかりにできるよう個人カルテを作り、学生への理解と共感を全職員が共有していけるような仕組みを作ることで、『教育カンファレンス』をより強化し、学生に対してのケアをより厚くする。そのためのプロファイリングを行っています。

紙ベースだと、個人情報を守るという点では不安がありますので、紛失や流出の危険性をを極力排除出来るよう、閉じられた学内LAN上の電子カルテですべてを管理できるようにしています。もっとも、それだけではもったいないので、学内の連絡ツールとして、学生にとっても便利に使えるような機能を次々と付加しているところです。

たとえば、コミュニケーション機能では、授業単位でとかクラス単位で、教員がその責任者になってコミュニティをオープンすることで、直接のコミュニケーションではタイミングを外して遠慮してしまっていたかもしれない意見交換やアイデアの蓄積など、ICTを利用して、グループのコミュニケーションをさらに深めていくことが出来るのではないか。

基本的には、面と向かっての会話が主だとしても、面談や授業の前哨戦として、あるいは記録と反省として、有効に利用できるコミュニケーションツールになると考えています。

それから、学生には、ICTにまつわるツール(ハードウェア・ソフトウェア)を日々使うことにより慣れてもらい、就職してから必要になるパソコン操作の習熟はもちろん、情報リテラシーや情報セキュリティの視点を持ってもらうことで、その後の社会人生活へすんなり対応できる準備を促すという意味合いも少なくありません。

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入学前から卒業後まで、地域との連携

入学前交流会の様子今回の学生支援GPの取り組みでは、「入学前教育」というのが特徴的です。

短大生活というのは本当に短いです。その2年間を有意義なものにするために、入学前から準備を進め、その中でより早く自己の課題を発見し、友達を見つけ、安心して学生生活が送れるよう、交流会や自己診断チェックを行い、速やかにスタートダッシュを切れるような取り組みを行います。

実際に入学前交流会に参加した学生の不安軽減効果などは成果が出ていて、引っ越しなど環境の変化や人間関係の不安解消をまず行い、次なる専門家教育への学習意欲を高めることに集中してもらえる雰囲気作りを重視しています。

また、やや延長線上の話にはなりますが、いままで卒業生を送り出していくだけで、卒業生に対するケアなど、送り出した就職先や地域に対して、学校としての貢献が今まで少なかったので、地域に密着した短大としては、本当に地域に貢献できる短大になっていくために、卒業生の声や就職先の声を聞いて、それを本学の教育や研究にフィードバックしていきたいと考えています。

卒業生を対象に様々な研修会・交流会を企画開催し、そこに本学の教職員や学生が関わることによって地域とのパイプとを太くして、地域との連携体制を図り、いまはまだチラシや口コミだけれども、今後ICTを利用して、本学の卒業生(全学科で16000名)との絆をつくり、お互いに引っぱりあえる双方向のコミュニケーションを取れるような仕組みを研究中です。

保育研修会の様子たとえば、今年度から取り組み始めた保育研修会では、保育科の卒業生に出席いただき、様々な発表や研究を行っています。

本学の学生の3分の2は保育科ですし、創立40年で一番古い歴史も持つ学科ですから、今までに7000名を輩出、県内の保育士の6割は本学の卒業生で占められています。

学校内だけに閉じこもるのではなく、常に外とのつながりを持ち、職場というものがより身近に感じられるようになったり、それだけでなく、子育てやボランティア活動への参加など、これからの人生の参考になるような経験を語り合うことも学生にとっては貴重な体験となることでしょう。

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